(10月中旬の山行記録です)
雨だ…
半年以上も前に申し込んだツアー。
憧れの雨飾山。バスツアーに参加するのは初めてだけれど、ガイドさんの名前になじみがあったので迷わず決めたのでした。
バスツアーは雨天決行、とにかくバスに乗って現地を目指します。
参加者は男性3名、女性6名、ガイドさんと添乗員さんです。
前泊地は雨飾温泉にある雨飾山荘。
糸魚川までバスで連れてきてもらえるのですからありがたいことです。
しかもインターを降りてからはかなりの急峻な山道をひたすら登りました。運転手さんに感謝です。
あいにくの雨、しかもザーザー降りではありますが、せっかくの露天風呂、これは頑張って入るしかない!
屋根もないので頭にタオルを乗せてお湯に浸かります。うーん、いい気持ち。さすが源泉かけ流し、体がじんわりあたたまります。
全国の温泉に詳しい、秘湯を守る会会員の友人もおすすめのお宿、ついつい手ぬぐいやTシャツも欲しくなってしまうのでした。
雪深い山奥の宿、 豪雪の年は積雪が2階の屋根にまで達するそうで、ブナの巨木と4寸角の垂木で建物を支えているそうです。
お食事も豪勢で山小屋とは思えません。
温かな温泉と美味しいお料理で登山前なのに緊張感もほどけ、夜もぐっすり眠ることができました。
翌朝は朝食を4時30分に済ませて5時15分に出発です。
まだ前日の雨が残っているのでレイン装備、しかもまだ暗いのでヘッドライトまでつけて、の登山。
のっけから急登が続きます。
「終わらない急登」と噂には聞いていましたが、薬師尾根…なかなか厳しい登りです。
夜が明けて明るくなってきましたが、雲は晴れてきません。雨は止みましたが一面真っ白のまま登山は続きます。
唯一の励みは紅葉。
赤は紅葉、黄色は黄葉、茶色は褐葉というのだそうで、それぞれが色づく仕組みもガイドさんが教えてくださいました。
葉っぱを緑に見せる葉緑素が先に分解して黄色のカロチノイドが残るので黄色く見える。
「葉を落とす準備のために葉柄と枝の境目に離層が作られ、光合成で生産された糖分などが移動できず葉に蓄積して赤色の色素 アントシアニンに変化する」のが赤だそう。
「褐葉」はアントシアニンの代わりにタンニン系の物質が生成されて、褐色になるそうで、気温、太陽光、湿度の変化によって色付きが進むそうです。
そんな説明を聞きながら、なんとか中の池に到着、ここまでくれば急登もひと段落?
水芭蕉の咲いた跡がありました。夏は見事な花が見られるでしょう。
分岐まで来ました。ここからは笹平といってなだらかな平原の中を歩きます。お天気が本当に残念。
ここは、私たちが登ってきた新潟県糸魚川登山口からの登山道と、下山ルートの長野県小谷村登山口への登山道との合流地点でもあります。
今回のツアーに参加したのは、登りと下り、別の登山口にバスが迎えにきてくださる、というのが魅力で飛びついたのでした。
マイカーだと同じところに降りないとならないからです。
気温が低いので雨氷現象が見られます。枯れた枝葉に付いた雨が凍ってまるでガラス細工のよう。
最後の急登を我慢して登り切れば、雨飾山に登頂です。1,963m。
雨飾山名物の「女神の横顔」
歩いてきた笹平の登山道が上から眺めると女性の横顔に見えることから名付けられたとのこと、
今日はガスで諦めていたのですが…
「あ!見えた!」山頂にいる全ての人々が一瞬の雲の晴れ間にシャッターを切ります。
女神だけでなく紅葉が一気に広がっていきます。
それにしても山頂はすごい人!混雑でゆっくり滞在できないほど。
このお天気でこんなにたくさんの人が登るなんて、晴れている日はどうなっちゃうの?
さすが人気の山なのですね!
深い谷底が美しい。
さぁ、長い長い下山の始まりです。
風景に見惚れている暇はありません。
今回はツアーなのでペースが私にとってはかなり速い!
ガイドさんとは前にも2度お世話になっていて親しいので、つい甘えて「休憩少ないですね」と言ったら
「小原さんはこれまで優しいガイドさんとばかり歩いてきたから。これから鍛えましょう」と言われてしまいました…。
こだま登山部ではゆっくりゆっくり誰も息が上がらないよう、ガイドのこだまさんが後ろを振り返りながら歩いてくれました。
あれはいかに配慮に溢れたやさしさだったことか。
こんな岩場もほっとかれて…こだまさんだったら最後まで降り切るまで見守ってくれたはず。
やっぱり私、甘えていたんですね。
雲が晴れてくると共に紅葉の美しさが途切れず、余裕もないくせに写真だけは残したい!
足元は昨日の雨で滑る滑る。
今日1日でぬかるみの中を歩くのが上手くなったかもしれません。
今回のツアー参加者は皆さん優しくて感じの良い方ばかりですが、どなたもアルプス常連者でいらして話題も私にとっては憧れの山の話が続きます。もしかしてアタクシ場違いだったのかも?
それでもなんとか必死について行って荒菅沢まで降りてきました。
真ん中に見えているのが雨飾山かと思いましたが、ガイドさんによると前衛の岩峰群、どうやら布団菱と呼ばれるようです。
ブナ平まで降りてきました。
ガイドさんからはクマに出会った時の対処法などもお聞きしました。
クマの好物のブナの木の実、標柱や樹の幹にクマがその手でめくったらしい跡が生々しく残っていました。
ここまで来たらあと少し、ガイドさんにも「よく頑張りましたね!」と励ましていただいて、やっと息をつく余裕が生まれました。
私にとってはハードな山行となりましたが、憧れの山をまたひとつ無事に歩けたことは本当に嬉しく達成感に満たされました。
下山後はニコニコ笑顔の運転手さんがバスとともに迎えてくださり癒されました。
また時間がない中、道の駅おたりに併設されている「深山の湯」にも立ち寄ってくださって疲れが取れました。
鈍臭い私を励まし続けてくださったガイドの紀平さん、
きめ細やかな配慮にあふれたツアーを提供してくださった「トラベルギャラリー」さんにも感謝!
さぁ!コンサートに向けて練習、練習!
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