ピアノを仕事にしているいうと「ピアノ、トラウマなんです」「怖かったなぁ、先生が」「嫌だったなぁ、母に無理やり習わされて」という声をたくさん、本当にたくさん耳にします。
同業者として心が痛み、そして我が身を振り返り切なくなったり反省したり。
留学して一番驚いたのは、ピアノレッスンの和やかな雰囲気でした。
恩師は妥協をせず生徒が理解するまで粘り強く指導しますが、決して声を荒げないし穏やかでした。
多くの日本人は弾いていて間違えると条件反射的に「すみません」と言います。
私があまりに「すみません」を連発するのでオーストリア人の恩師が
「君はわざと間違っているのか?そうは見えない。一生懸命心を込めて弾いているのでしょう?なぜ謝るんだ?」
と。
最初は意味がわかりませんでした。
「なんのために弾いているの?
自分の音楽を表現して伝えるために弾いているのでしょう?
そのためにさまざまなことが追いつかなくて間違えることはある。さらに練習すればいいのであって、謝ることではない」
これは、それまで私が受けて来た日本の教育にはなかった発想でした。
まずは間違えないために練習。
これはピアノに限りません。
帰国するときに恩師は私に言いました。
これから指導する立場になるだろうけれど、生徒に謝らせるようなレッスンは決してしてはいけない、と。
さて、あれから30年。
私はどんなレッスンをして来たのでしょう?
怖かった先生の話を聞くたびに、恩師の言葉を思い出し自問自答の日々です。
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