春の宵、素晴らしい演奏会がありました!
ピアニストとして尊敬する黒川文子先生とは、聖徳大学講師としてご一緒させていただいてきました。
まだ息子が小さかった頃、やはり一人息子さんをお育てになられた黒川先生から聞くお話には励まされることばかりでした。
また学生を指導する立場として相談に乗っていただいたこともたくさんあり、心優しく温かく、しかも音楽家を育てるということについては厳しい視点も忘れずに、その素敵なお人柄に憧れを募らせておりました。
(画像はチラシより拝借)
文子先生はチェリストのご主人様とのコンサートを定期的に開催されておりました。
黒川正三さんは東京フィルハーモニーの首席奏者として、また「フィルハーモニーカンマーアンサンブル」の主宰もされ室内楽奏者として活躍されていました。
ピアノトリオでは、やはり東京フィルハーモニーのコンサートマスターを務められたヴァイオリン奏者青木高志さんとの共演です。
これまでなかなかお聴きする機会に恵まれなかったので、今回は本当に楽しみにこの日を心待ちにしておりました。
開演と同時にまず正三さんがおひとりでマイクを手に出ていらして、コロナ禍で演奏会が延期になりやっと今日の日を迎えられたことへの感謝、奇しくも11年前のこの日に大きな震災があったこと、今も世界のどこかで争いが起きて生命の不安に晒されている人々がいるということをお話され、1日も早く平和な日々が戻りますように、という思いが客席いっぱいに伝わりました。
(画像はプログラムより拝借)
そして始まったシューベルトの優美なこと!
ウィーンの街や森を思い出すようなエレガントで美しい調べにすっかり夢中になって聴き入ってしまいました。
実はシューベルトのピアノパートはとても弾きにくいはずなのに、さすがは文子先生、時には清楚に時には華やかに演奏されるのでした。
後半はメンデルスゾーンのピアノトリオ第2番、有名な第1番よりさらに内なる想いの表現の難しい作品ですが、私は見事にノックアウトされてしまったのです。
美しさと共に伝わる強い意志と迫力、文子先生のピアノのテクニックといったら素晴らしく、息を呑む思いで曲にのめり込んでしまいました。楽章ごとのキャラクターも豊かで、何より作品に忠実に誠実に表現することの素晴らしさを、御三方が当然のように演奏されていることに感嘆いたしました。
こんなにピアノトリオの演奏に心を揺さぶられたのは初めてで、どうしても家族とこの感動を共有したく、終演後にロビーで販売していたDVDをいただいて帰りました。
自宅で聴いてもその素晴らしさは十分に伝わって来て、ぜひまた他の作品を拝聴したいと強く思いました。
(画像はDVDのジャケットより拝借)
歳を重ねるうちに身体のあちらこちらに不調を覚え、いったい幾つになるまで弾けるのだろう、と不安になることもあります。
文子先生は私よりちょっとだけ先輩でいらっしゃるはずなのに、その溌剌とした美しい演奏!
憧れと共に僭越ながら目標にさせていただこう!と勇気をいただきました。
素晴らしい演奏会をありがとうございました。
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