ピアノはうたう

ピアニスト小原由起子のブログです。演奏活動やレッスン、日々の暮らしで大切に想っていることを綴っています。

父の追悼コンサート

私の父はプロのピアニストではなかったけれど、たくさんのプロアマピアニストを育てた教育者でした。

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88歳で引退した後は、耳が遠くなったこともあり残念ながらピアノに触れることは少なかったけれど、バスの旅を楽しんだりドイツ語の小説を読んだり自由気ままに過ごしていました。

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93歳で亡くなった2020年はコロナ禍が始まったばかりで、門下生の皆さんのお悔やみの気持ちにもなかなかお応えすることができませんでした。

そして三回忌を迎える今年、父の追悼コンサートを開催することで、門下生と親族が共に父を偲ぶ機会を持つことができました。

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墓碑にも刻んだ「Freude」はドイツ語の「喜び」、ベートーヴェン歓喜の歌にちなんでいます。

記念の品に貼り付けるために、息子がシールを作ってくれました。

ご来場のお客様のお顔をひとりひとり思い浮かべて、丁寧にシールにお名前を書き込む母。
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今回の追悼コンサートは母と次妹が企画から準備まですべて整えてくれました。

会場の予約や打ち合わせから、門下生の皆様への連絡や感染対策への配慮まで、本当に大変だったと思います。

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長女の私と末妹は音楽家ですので、その経験からサポートすることはありましたが、ほとんど母と次妹でやり遂げたことは、亡き父への想いや、門下生の皆さん、ご縁のあった方々への感謝の気持ちが溢れていたように感じました。

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会場は、晩年の父が年に2回の発表会を開催していた思い出深いホール。

当日は開演時間の少し前から冷たい雨が降り出しました。
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開場前からお世話になった調律師さんや懐かしい生徒さんのお顔が集まります。
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受付横には父の写真。

演奏中の横顔だけでなく、日常生活の様子もお伝えしました。
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こちらは過去何回かの発表会の集合写真。

本日ご来場のお客様がお小さい頃のお写真や、私たち姉妹の思い出あれやこれやも。
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ステージには花と遺影。
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父もそこに居て聴いているような…
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まずはトランペットによる献奏。

私たち夫婦のウィーン留学がきっかけとなり、父はすっかりヨーロッパの旅にハマり、以来毎年のように訪れたものでした。

懐かしい思い出です。
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門下の生徒さんによる演奏が始まりました。

音大に進学され音楽のお仕事に携わる方もいれば、趣味として続けていらっしゃる方もいらして、バラエティに富んだ魅力あふれる演奏が続きます。
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門下の皆さんと母で記念撮影。
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父も一緒に。
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楽家ではない義弟と息子は頼もしい裏方として受付を守ってくれます。
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皆さん、懐かしい写真に関心を寄せてくださいました。
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二世代にわたって生徒さんだったご家族。

親同士も子ども同士も長いお付き合いになりました。心より感謝いたします。
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55年ぶりにお会いする生徒さんもいらっしゃいました。

「ゆっこちゃん?あらぁ、大きくなって」

まもなく還暦を迎える私への第一声。
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地元が同じだと生徒さんが小中学校の先輩後輩だったりもします。

そういえば私たちが通った区立の小学校は、少子化により廃校になってしまいました。
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親族の演奏が始まりました。

次妹が、過去の発表会で演奏された曲の回数を集計してくれて、その中で人気のあった作品を私と末妹で分担して演奏しました。

末妹の豊かな深い響きが美しい。

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父はベートーヴェンが好きでしたので、この日の演奏もベートーヴェンが1番人気でした。

次妹は音楽家ではありませんが、丁寧に練習を重ねて立派に披露。
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長女の私は、初めての発表会で弾いた曲から人気のショパンまで。
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そして特筆すべきは母の演奏!

この日のためにブラームスのワルツを猛練習。ちなみに86歳です。

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父の存命中は一度も舞台に立つことのなかった母ですが、実は出たがりだったことが判明!
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見事にノーミスで最後まで弾き切り、

今後がさらに楽しみとなりました!
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トリを務めたのは姪。

忙しい中、大阪から駆けつけてくれました。

現役音大生の素晴らしい演奏に場内の誰もが聴き入りました。
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厳しかった父に対してはさまざまな想いがあるけれど、今日音楽で食べていけているのは父のおかげであることは間違いありません。

感謝しないと、ね、お父さん。

そんな素直な気持ちにもなれたひととき。

そして、家族が健康でコンサートの日を迎えられたことが何よりも嬉しくありがたいのでした。
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#河野昭二門下生

#河野昭二追悼コンサート