ピアノはうたう

ピアニスト小原由起子のブログです。演奏活動やレッスン、日々の暮らしで大切に想っていることを綴っています。

高校時代を振り返る

梅雨のある日、高校のクラス会がありました。

平日のランチ会ということで、レッスンの合間に懐かしい顔を見に行くことができました。

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高校受験のことを思い返すと、私の意思など確認されたことは一度もなく、父の一存で志望校が決まったのでした。

今の時代では考えられないことです。
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私は周りの友達と同じ様に普通科に進学したいと言ってはみたものの「ピアノ以外に取り柄もないくせに」と頭ごなしに返されて、そのまま音楽科を受験することになりました。
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本人は当時好きだった男の子のことで頭がいっぱい(笑)父とT先生が必死になって受験準備を進めます。毎日ピアノの練習を3時間、その甲斐あってか、なんとか志望校に合格することができました。
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入学してみてびっくり、T先生がこの春から同じ高校に勤務されるとのこと。

学校ではT先生が、家では父が、ギラリと目を光らせて、ピアノのことなど心ここに在らずで危なっかしい私をレールに乗せて、大学受験へと走り出すのでした。
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その重圧から逃れたかった私は、隙間時間にどれだけ遊べるかに必死になりました。

厳しい門限、毎日の練習、これさえ守れば自由が手に入りました。

日々のほんの少しの冒険、高校時代といえばこればかり思い出します。
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そんな私でしたから、学校で友達と過ごす時間はとても楽しくて息抜きになりました。

高校から音楽科ということで、誰もがいつも課題を抱えていてそれに向かって努力を重ねることが当たり前になっていました。

その中で過ごせた3年間は、私にとって貴重な体験、普通科に進学していたら手に入らなかった宝物です。
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専門実技の力をを身につけるための様々なカリキュラム、今振り返ると公立高校とは思えない充実した授業でした。

先生方は厳しかったけれど、3年間で私たちを音楽家の卵として育てなければ、という熱意のもと、大切な基礎を叩き込んでくださったのでした。
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反抗期、思春期真っ只中で不平不満を言いながらも、素晴らしい環境、優秀な友達に恵まれたおかげでなんとか道を逸れることもなく(笑)大学受験を迎えることができ…

振り返るたび、幼かった自分への恥ずかしさと、周りの皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいになります。

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クラス会での話題といえば、介護や仕事、自分の健康…同じ歳の友達との語らいは共感ばかりで温かな空気が流れます。

みんな、家族を大切に過ごしているんだなぁ。
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残念ながら都合がつかず来られなかった友達へも想いを馳せつつ、またの再会を約束して別れました。

それぞれが忙しく、わずか2時間の会食でしたが、中身の詰まった濃厚な時間を過ごすことができました。
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日々のレッスンで生徒さんと向き合う時、昔の自分と姿を重ね合わす時があります。

今の子どもたちは、なんと真面目にピアノに向かっていることでしょう。

反面で、打たれ弱さを感じてしまうのは、やはり私が「昭和の人」だからなのか…f:id:amefuri5kumanoko:20240701213200j:image

父も、T先生も、もうこの世にいなくなってしまったけれど、私はまだピアノを弾き続けています。

あんなにイヤイヤ弾いていたのになぁ、と人生の不思議に苦笑してしまうのでした。

#都立芸術高校

#昔は駒場高校音楽科

#今は総合芸術高校