
芸術の秋だから、ということではないのですが、
たまたまレッスンのキャンセルがあり時間ができたので、かねてから関心のあった映画を観に行きました。
少し前に話題騒然となった「国宝」
上演期間の終了ギリギリに滑り込みセーフな感じです。間に合ってよかった。
知り合いには何度も繰り返し観る人もいたのですが…この日の会場はガラガラでわずか5名ほどのお客様。

さまざまな受け止め方があるとは思いますが、まずは日本の伝統芸能の素晴らしさをあらためて認識することになりました。
映画を観るとつい感情移入してしまうので、この作品もつらくて切なくてしんどかった。同じ芸事に携わる身として、もちろん足元にも及ばないにしても、似たような苦しみは日常的にあって、どこか麻痺してしまっている感覚と直面する場面もありました。夢を売る商売はしんどいのです。
国立劇場の関係者から、後継者不足が深刻だとお聞きしたことがありました。もう10年くらい前のことです。
建て替え中、再整備が難航しているとの報道もあります。伝統芸能を守り維持し続けるために、文科省、文化庁はもちろんのこと、私たちひとりひとりの意識も改革すべきなのかもしれません。

さて日付変わって、同じ総合舞台芸術でも今度はオペラ鑑賞。
ウィーン国立歌劇場公演。
あまりにチケットが高額で本番を聞くことはできませんが、ありがたいことにリハーサルを聴かせていただくことができました。
演目は「フィガロの結婚」
「あなたたちにモラルというものはないのか?」と問いただしたくなるようなストーリーですが、
男と女のしょーもないやり取りが、モーツァルトの音楽と共に繰り広げられると素敵に聴こえるから不思議です。
本番を翌日に控えているので歌い手さんたちは多少控えめに歌っていらして少しだけ残念でしたが、贅沢は申せません。
全曲を通して聴かせていただき感謝しかありません。
留学当時に何回も観たこのオペラ、演出が変わってラブコメ仕立てになっているのも時代の変遷かしら。もう40年前のこと、私が「昔の人」なのかもしれません。