私たち夫婦の、後輩と呼ぶにはあまりに立派で偉大な演奏家、梅津千恵子さんのコンサートにいってまいりました。
彼女のあのエネルギーはいったいどこからくるのか?
ホームページを覗くと…
研究室リズムミュージアム2022企画
「未来への創造~ギター&ヴィブラフォンのデュオ新作3選 その魅力と進化と~」
とあります。
仙台を皮切りに熊本、柏、軽井沢と4公演が予定され、ギタリスト尾尻雅弘氏とのヴィブラフォンのデュオのために公募した新作品を含め、
4公演それぞれゲストにより曲目も少しずつ違うそうです。
私たちが聴いた3公演目の柏公演は、委嘱新作以外にヴィヴァルディ、ストラヴィンスキー、そして没後30年記念のピアソラとバラエティに富んでいました。
私は梅津千恵子さんのCDのヴィヴァルディが大好きで、これを機にギターとヴィブラフォンのデュオの魅力にハマったのでした。
さて、コンサートプログラム、委嘱作品一曲目の光永浩一郎「パッションフルーツ」はタイトルのイメージ通り南国ムードいっぱい、色彩感が非常に豊かで聴いている人たちの想像力をかき立ててくれることでしょう。
きっと心が疲れた時に、また聴きたくなるようなそんな優しさに溢れています。
手元に置いておきたいな、CD化が待ち遠しいです。
委嘱作品2曲目の藤家溪子「壇ノ浦幻想」は、決して過去のできごとではなく歴史の中で人間が繰り返す愚かさや迷い、目を背けたくなる現実への憂い、諦め、真実への希望が次々と押し寄せてくるようで、聴いていて苦しくなるようでした。
作曲者の藤家さんは実は大学の同級生なのですが、当時は才色兼備とはこの人のためにあるのだなぁ、と表面的なことしか理解できなかった私、彼女が関心を持つ世界には近寄るすべもなかったので、いつも笑って挨拶をする程度。
いまは西アフリカ在住で現地の芸術家と共に活動をされる様子をSNSで見かけてはそっと応援する、そんな距離感だってのですが、本日の演奏を聴いてグッと近い存在に感じてしまうのでした。私もほんの少し大人になれたかなぁ(今更…)
明るく元気な梅ちゃんトークや、尾尻さんのほのぼのトークに救われ、また大好きな「プルチネッラ」からの組曲でハイテンションになったところに、委嘱作品第3曲目、近藤浩平「荒船山山頂・日食」が演奏されたのでした。
あくまで個人的な感想で恐縮なのですが、私はとにかく荒船山が苦手です。山に登ったことはないのですが、あの形状がどうしても恐ろしくて直視できないのです。
山の家への移動の時に麓を通ることが多いのですが、できるだけ視界に入れないように気をつけるほど。
山仲間からは「登ってみると穏やかでいい山よ〜イメージ変わるよ〜」と言われるのですが、どうしても足が向かない。前世で何かあったのかしら?と思うほど。
そんな心構えで聴き始めたらあら不思議、とても和やかで穏やかで癒されてしまったのでした。私が勝手に一方的に感じているのはもしかしたら自然への畏怖の念であって、恐怖感ではないのかもしれない、とさえ思えてきました。
この作品をあと何回か聴いたら、もしかしたら荒船山に足が向くかもしれない、そんな気がしました。
続いてチャルダッシュ、そして尾尻さんの書き下ろしのクリスマスソングメドレー、ピアソラが2曲演奏されましたが、圧巻はピアソラの「ボルデル1900」!
名作「タンゴの歴史」の第1曲で賑やかに華やかにタンゴの魅力が弾けまくる作品、梅津さんのテクニックと躍動感が会場内にギューッと充満しては炸裂を繰り返すような感がありました。
あれはライブでないと感じることのできない感動でした。
感動した勢いで23日の軽井沢公演のチケットを買ってしまいそうになりスケジュールを確認、泣く泣く諦めるという…
素晴らしい時間でした。
尾尻さん、梅津さん、ありがとうございました。
軽井沢公演のご盛会を心よりお祈りしております。
梅津千恵子ホームページ
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