たまにはピアノの話題も書かないと「何のブログ?」「山日記?」と冷やかされてしまうのですが…
ピアニストがピアノを弾くのは日常のことなので、特に書く必要もないのですが、あえて苦労話をひとつ。
ブログの更新が滞っているのには訳がありました。そんな時間もなく練習に追われていたのでした。
ここしばらくこの曲が1日中頭から離れませんでした。
山を歩いていても、台所でご飯の支度をしていても、いつもいつもこの曲が頭の中で鳴っていたのでした。
大先輩 S先生の門下生のトランペット発表会の伴奏をお引き受けしたところ、この難曲の伴奏を弾いてくれる人がなかなかいないからお願いしたい、と。
作品はよく知っています。
あまりの難曲で学生時代から誰も伴奏を引き受けようとせず、ある時バリバリ何でも弾きこなせるOちゃんが弾けるようになったので、彼女がこの曲専門の伴奏者となりました。
そんな彼女を「わ〜!すごーい!」と感嘆するばかりで譜読みもせずに通り過ぎてきた私が、なんとK歴を過ぎた今、チャレンジすることになるとは。
天が与えてくださった学びの機会と捉えて腹を括ってお引き受けしたのですが、さぁ、大変。
音が多くて多くて全部を鳴らそうとすると相当ゆっくりになってしまう。
そうこうするうちに合わせの日がやってきて、
当然トランペット奏者は速いテンポで吹きたいのです。ぜーんぜん間に合いません。
「不安しかない…」
息子より若くて、しかもイケメンな男子学生にこんなセリフを言わせてしまったヨレヨレピアニスト。
なんて情けない。
もともとは弦楽合奏とピアノで伴奏する作品なので、それをすべて再現するのは到底無理なことなのだ、と気付いたのは
ある動画を聴いたことでした。
ピアノ伴奏のおねーさん、いやピアニストがかなり音を省略しているにもかかわらず、主要なメロディやハーモニーを保ったままリズミカルに弾いているのです。
「なんや、これでいいやん」
それからは少しずつテンポが上がっていきました。
夕ご飯が終わってもソファでうたた寝しないで練習する日々。やればできるのだ。
そして迎えた本番は、だいぶ違う音もたくさん弾いちゃったけれど、なんとかソリストについていくことができました。
何より演奏後に舞台袖に戻った時、イケメン君が笑顔で「ありがとうございました!また次の本番でもよろしくお願いします!」と言ってくれたので救われました。
S先生にも「さすが山で鍛えてるだけあって、地に足のついたいい音してますね!若い子達も見習って山に行かなきゃ!」と
何を褒めていただいたのかわからないのですが(笑)お役は果たせたというふうに理解して会場を後にしました。
外に出ると春の冷たい雨に濡れた花たちがとてもきれい。
お引き受けした頃はまだ寒かったのに、いつのまにか季節が変わっていたのでした。
え?どんな曲か聴いてみたい?
では私の演奏ではなく、参考にしてさんざん聴いたこの動画を貼り付けておきますね。
ぜひお聴きください。
#アンドレジョリヴェ
#トランペットとピアノと弦楽合奏のための小協奏曲
#難曲にチャレンジ
#曽我部清典門下生発表会