ピアノトリオといえばすぐに思い浮かぶ名曲で、高い演奏技術やアンサンブル能力を必要とされ、美しいだけでなく学びの多い作品として知られています。
楽譜を開くのは大学生の頃に弾いて以来。
振り返ればその当時のパートナー達は今も第一線で活躍中、いかに恵まれた環境で大学時代を過ごしていたのか、畏れ多くて胸が震えるほどです。
今回はクローズドコンサートでの演奏ということで、会場は広いホールではないのだけれど、この曲に強い想いを抱えられたお客様ばかりが集まるとのこと、心して作品と向き合うことになりました。
ある映画のワンシーンで流れた「大公」
それを35年ぶりに聴くために集まる…
それも、そのシーンを撮った部屋で生で聴かせてほしい…
そんなコアなファンの集いでの演奏。
普段の演奏会とはまた別の緊張感があります。
会場となる大倉山記念館
昭和7年に大倉邦彦が「大倉山精神文化研究所」の本館として創建、設計は古典主義建築の第一人者、長野宇平治(1867-1937)だそうです。
研究所の設計をするにあたり
「東西文化の融合」を掲げた大倉邦彦の理想に深く共鳴した長野は、
古典主義にとらわれることなく、古代ギリシャ以前の”プレヘレニック様式”という世界的にも希少な建築様式を用いたのみならず、
東洋の意匠も取り入れ、まさに東西文化が溶け合った独特の様式美を持つ建造物を創り上げました。(ホームページより転載)
映画のワンシーンのロケ地となった部屋。
アンティークな雰囲気と、窓の外の緑の調和が見事です。
ピアノは年代物のアップライト。
音色は少々難ありでしたが、本日のお客様はそんなことより別のところに思いの深さがあるのでした。
主人公達がこの部屋で「大公」を奏でるシーン、そこに流れる曲が出演者の声やセリフ、演技と共に記憶に深く刻まれているのだそうです。
チェロ奏者のharukoさんとは「初めまして」のお仕事でしたが、共通のお知り合いもたくさんいて演奏やお人柄の評判もよく耳にしておりました。
このたび共演できて大変光栄です。
ヴァイオリン奏者のmakiさんとはご一緒する機会が多いというのもありますが、これといって何かお願いや相談をすることなくピタリと合うあたり、音楽の感性や価値観が近いのだと思いました。これもまた、大変ありがたいことです。
熱い眼差しで聴き入るお客様たち…
その胸の中は35年前とを行ったり来たりされているのかもしれません。
終演後は記念撮影。
大変喜んでいただけて、私たちもとても嬉しく思いました。
大型台風が接近する前のタイミングに集まることができてよかった…そんな声も聞かれました。
外は蝉時雨がにぎやかな、暑い夏の午後でした。
#35周年特別登校日
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