起床は3時30分、まだ外は真っ暗。
支度を整えて、朝ごはんを美味しくたっぷりいただいて、歩き出す頃には少しずつ空が白んで来ました。
日本庭園のような美しい苔の森を抜けると
ゴーロと呼ばれる一面大きな石がゴロゴロしているところに出ました。
目指すは仙水峠、どうやら日が登り始めたようです。
同じ宿から出発されたグループの皆さんも、感動の声をあげてどなたもカメラを空に向けます。
足元もすっかり明るくなりました。
雲海のところどころから鳳凰三山の姿が見え隠れしていますが、なかなかカメラで捉えることができません。あれはもしやオベリスク?
見えたのは甲斐駒ヶ岳と摩利支天。
これから駒津峰まで一気に500m登らなければなりません。
のんびりはしていられないのです。
師匠の後について、ゆっくりとしっかりと歩みを進めます。
登り初めはいつもつらくなるけれど、それは歩くペースを掴むためのバロメーター。
呼吸を整えながら歩きます。
時折振り返ると南アルプスの山々と深い谷が見えます。
汗だくになりながらも、憧れの地で歩みを進めていることに喜びを抑えられません。
木々の間から甲斐駒ヶ岳の山頂が見え始めました。
ここを登れば稜線に出て、この姿を見ながら歩けるはずです。頑張らなくては!
空の青と山並みの緑!
これから目指す駒津峰が見えてきました。
待ってろ!甲斐駒!
師匠がちょうど良いタイミングで休憩の指示をくれます。
水分補給、行動食を口に入れ、装備を整えます。
ガスが晴れて甲斐駒がだんだん近づいて来る!
振り返れば雲海と日本一高い稜線と呼ばれる山並み!
森林限界が過ぎてハイマツが多くなりました。
駒津峰まであと少し!
富士山の次に高い北岳と
日本で3番目に高い間ノ岳か並んで見える!
駒津峰に到着!
後ろには甲斐駒ヶ岳の山頂も見えます。
師匠はこの秋に登る予定だそうです。
私にはとてもとても、眺めているだけで大満足!
実は晴れて眺望が良かったのはここまで。
これから先はガスがかかって真っ白になりました。雲の中を歩いている感じ。
そして稜線に出た喜びも束の間、
ここからは大きな岩と向き合い、痩せ尾根を注意深く歩き、写真を撮る余裕がなくなっていくのでした。
師匠についていくのに必死。
シャクナゲとハイマツの間を歩きます。
途中ロープや鎖のある岩場も降りなくてはなりません。
慎重に足の置き場を考えます。
足の筋力が人並み外れて弱い私ですが、
師匠が手を使うことや身体全体のバランスを教えてくれるので、あまり恐怖を感じないで岩場を乗り越えることができました。
怖がってばかりいないで、実際に歩いてみることがどんなに大切か、学びの多い山行です。
そしていよいよ頂上直下の分岐に来ました。
慣れている登山者はここから岩の急登を登ります。
時間も短くアスレチック気分満載だそうですが、到底私には無理なので巻道コースを選択します。
とはいえ、巻道といえど岩場の連続でドキドキヘロヘロ、こんなんで山頂まで辿り着けるのでしょうか。
噂には聞いていた真っ白な山肌。
花崗岩なので、砂も岩も白いのです。
ザラザラサラサラ足元がとても心もとない。
歩いても、歩いても、同じような白い道。
時々花崗岩の塊の端っこを歩いたり跨いだり。
そして、空を仰いでも真っ白で何も見えない。
テンションも上がりません。
さすがの師匠もペースがゆっくりになってきました。少し登っては息を整えながら進みます。
分岐まで来ました!
北杜市から登る黒戸尾根のコースとの合流地点です。
ここからは山頂まであとわずかのはず!
あ!見えた!山頂の祠が霞んで見えます!
だんだん近づいてきて…
やっと登頂しました!甲斐駒ヶ岳2,967m
疲れも吹き飛ぶ達成感!
ここまで連れてきてくれた師匠に感謝!
ここから先、鋸岳には軽い気持ちでいっちゃいかん!と書いてある看板。
見てるだけで怖くなります。
山頂には家族連れや私たちより歳上のグループなどでいっぱい!
皆さん楽しそうにお昼休憩を取っています。
あたりは真っ白なのだけが本当に残念。
と思ったら、ほんの一瞬青空が。
どなたも皆さん一斉にカメラを向けます!
さて、下りが超遅い私には、帰りのバスに間に合わせなければならないという課題があります。下山を開始します。
ザラザラサラサラの中を慎重に降りていきます。
ガスって見えないことで高度感はさほど感じません。
少し降りては山頂を振り返る。残念ながらもうガスの中です。
でも感傷に浸っている場合ではありません!先を急がねば!
雷鳥がこのあたりに居そうな気がするのだけれど…。
荒々しい岩場の中に一本のダケカンバの木が。
一緒に記念撮影!
こんな狭い岩の間を通り…
なんとか分岐まで戻ってきました。
ここからは行きと別のルート、双児山を経由して北沢峠登山口を目指します。
ハイマツの中をひたすら降りる。
快適な下りに思わずポーズ。
このあたりまでは余裕でしたが、このあと、双児山はの登り返しが意外にも岩だらけだったことや、
樹林帯に入ってからも下りの超遅い私のペースでコースタイムをみるみるオーバーし、16時のバスに間に合うかどうかハラハラドキドキの下山となりました。
無事に北沢峠に到着したのは発車20分前。
いやはや師匠にも心配をおかけしてしまいました。
花の写真を撮る余裕もなかったけれど、ただ無事に行って来られてよかった。
今回師匠にはたくさんのことを教わりましたが、何よりもまだ諦めずにチャレンジすることの大切さを実感しました。
ありがとうございました。
林道バスの終点まで夫が迎えにきてくれて
高遠町のさくらの湯で汗を流し疲れを癒しました。
その後は諏訪のとんかつ「勝味庵」でたんぱく質を補い帰路につきました。
無事の下山を喜んでくれた夫には、感謝してもしても足りません。
#仙水小屋
#仙水峠
#駒津峰
#六方石
#双児山
#北沢峠